「レゴで、灘校つくろうや。」
〜灘校模型ができるまで・当日編〜

  4月28日   4月29日   4月30日   5月1日   5月2日   5月3日  

4月28日。

この日は、にーなは全く授業を聞いていなかった。
何故か。それは、この日が文化祭準備期間初日だからである。

この日の放課後、全校生徒で机椅子を移動させ、文化委員を筆頭に校舎の中を飾りつけ、各クラブ、サークルが来るべき文化祭に向けて準備をするのである。

それと同時に、今年の4月28日はLEGOサークルにとって一つの締め切りでもあったのだ。
何のだろうか? LEGOブロック注文のだ。

カレンダーを見ていただきたい。2011年の4月28日以降、5月2日までの間に、平日があるだろうか。ないのである。
ということはつまり、ネットでブロックを買い込んでいる我々には、4月28日以降のブロック入荷ルートは存在しなくなるのだ。
そんなことがあったために、にーなはこの日買い忘れているパーツがないかどうかや、絶対必要なパーツが見つかったりしないだろうかと戦々恐々としていたのだ。

設計編を読んでもらえば分かる通り、校舎の設計は昼休みに中庭をぶらつきながらでも出来る。ということは、にーなが昼休みに生徒会室に行く途中、何をしていたかはもう明白だ。
この日のにーなの携帯の送信メール欄には、LEGOのブロックの種類と個数が羅列されたHIwai宛ての送信メールが残っている。
また、社会の時間に板書を移す傍ら、にーながなにやら方眼紙に書き込んでいた理由もお察しください。

そんなこんなでその日の授業はじれったく進み、早く終わってほしいような、まだ昼が続いてほしいようななんとも不思議な気持ちでにーなは時間をつぶしていた。

その日の放課後、ホームルームの時間に、パンフレットや注意事項の紙が配られ、高3は机移動なしで解散。
同時に我々は美術室まで荷物を運んだ。ところが、
片付けててくれよ……

ちょっとやる気を損ねながらも、このまま放っておくわけには行かないので、石膏像の不気味な目に見守られながら机を移動することに。

机を移動し、下を掃き掃除して、机を元の位置に戻し……とシベリア労働者のようなことをしているとき、 少しして美術の先生が登場。

先生「ここってどんな風に使うん?」

ブッダ「どういう風に……ですか?」

先生「うん、それによって片付け方変わるから」

ブッダ「そうですね……」

先生「過去のサークルは、机を端に寄せたりカバーかぶせたりしてたよ」

ブッダ「つまり、この机は」

先生「うん、物をなくさない限り動かしてええよ。文化祭終了後に元に戻ってたらどんな風にしててもええわ」

ブッダ「あ、そうですか。分かりました」

この言葉の後、にーなたちは机を寄せ始めた。
空になっているダンボールを積み上げ、散らばっている金槌を隅に寄せ、机の落書きを消す。

大体の掃除が終わった後、外から文化委員の「終わったー!!」「お疲れ様!」という声が。
机移動の指示や手伝い、その他の机的資材の移動を終えた証である。

窓越しに一枚。

窓に網がかかっているせいで我々が投獄されたかのようである。

気を取り直してダンボールから過去の作品を取り出そう。多分いくらかは壊れているだろうから、それの修復も、と思いながら武道館のダンボールの蓋を開けた。

誰がこんなに壊していいっていった?

おい、宇宙。エントロピーはちゃんと持っていけ。人の所有物のエントロピーを勝手に増大させてるんじゃない。

あまりのことに苛立ちを向ける相手を間違えながらも、にーなとおぎ、Kazはオーパーツとなった校舎の破片が、どこの部分だったか探し続ける。

一方その頃。

ブッダ「あー、こっちはそんなに壊れてないな」

ブッダは本館を取り出していた。

水は低きに流れ、人は易きに流るる。
にーなが本館の手伝いに入ったのは言うまでもない。
本館はその保存状態の良さで、たった2,30分で完全復活を遂げる。

しかし、武道館修復は思うように進まない。

片方の壁が修復されるも、もう片側の壁が謎なのだ。

武道館の二階廊下を修復しようとしていたimamuは、そのあまりの奇怪さにとうとう精神を狂わせてしまう。

imamu「うおおおおお!」

ブッダ「もはや様式美」

毎年こんなことをするやつがいる気がする。

忙しいときに限って、時間は早く過ぎていくように感じる。
ビーーッという無機質なブザーの後、校内アナウンスが流れ出す。

「えー、下校時刻、5分前です。文化祭準備をしている全てのクラブ、サークルは、準備を止め、帰る準備をしなさい。なお、文化委員は率先して、クラブ、サークルを追い出しなさい」

ブッダ「追い出されんのかww」

HIwai「ほら、早く帰れよぉww」←文化副委員長

imamu「UZEEEEEEEEE!!!」

ええ、帰りましたとも。しかし、先生が「追い出しなさい」なんていう学校は珍しいのではなかろうか。

               *      *      *

29日。9時半過ぎに教室に行くと、そこには既におぎがいた。

にーな「おぎだけ?」

おぎ「うん。ブッダは昼以降になるって言ってた」

にーな「マジで……ほんまやメールきてる」

というわけでまずは旧校舎を取り出して改装をスタート。
こちらは武道館ほどは壊れていなかったが、今年から窓の枠に黒いプレートを入れることになったので、そのために窓を取り出すことに。

これが旧校舎。損傷はほぼゼロ。

おぎ「さーて、取り外そか」

まずは壁の接続部分を注意深く外す。そして……

取れた壁。

散らばったパーツは飛び散ったのではなく、窓のサッシに追い出されたパーツ。

旧校舎をおぎに任せている間、にーなは東館の階段の位置を色々と弄繰り回していた。

東館の階段。

夜中は登った段数と下りた段数が違うらしいが、人間はここを登れない。

そうこうしているうちにimamuとKazが現れ、武道館の復旧にかかり始めた。

色々と疲れが見える武道館復旧組。

この欠片たちは過去の自分を超えられないというオーパーツぶりを発揮していたらしい。

あまりにも武道館は複雑だったらしいが、放っていてもちゃんと直してくれるのだからありがたい。

最初は数日かかるのではと思われたが、実際は一日で屋根以外は修復が終わった。しかも午前中に。
こいつらどうかしてるんじゃね?こんなの絶対おかしいよ。

早すぎワロタ。

恐らく翌日には屋根が張られているようなスピード。

複素数の速度を出しているとしか思えない。

昼過ぎ、1時ほどになって、我々が「武道館終わったら昼飯食いに行こう」といったまま一時間が経過した頃、キクチが現れた。

おぎ「キクチー、昼飯食べた?」

キクチ「食べたー」

にーな「マジか」

Kaz「俺ら食べにいきたいんやけど……」

キクチ「留守番しよか?」

にーな「お願い。そうそう、ここにあるダンボール、看板にするから折り目のところで切って模造紙張っといて」

キクチ「わかったー。いってらっしゃい」

その後我々は空いている店を探して半時間ほど彷徨い歩くことになるのだが、それはここでは割愛する。

帰ってきて東館へ向かっていると、東館の反対側の出口で何やらこちらを伺っている影があったので、よく見るとそれはHIwaiだった。
教室の中に入ると、モデルガンを構えたHIwaiが平和的にお出迎えしてくれた。
キクチはとっくの昔にダンボールを加工し終わっていたらしく、休憩していたのだが。

その頃の全体の様子。

人が少なく見えるが、実際はこの写真を撮っているにーなと校舎の外観を見に行ったおぎが足される。それでも少ないのは教室が広いからだろう。

水樹奈々の曲に合わせて踊るHIwai。

本当はもっとアクティブだったのだが、写真で撮った瞬間はあまり動きが見えなかった。

ちなみに、ブッダは熱が37.6度あったらしく、用心して養生することにしたらしく、にーなにメールで仕事を送りつけられていた。


この頃から校舎が一段落つき、皆が暇になり始めた。

遊ぶやつもいれば、

遊ぶやつもいた(写真は創設者(wady)の作った校長の肖像)。

まあずっと遊んでいたわけでもなく、看板をどこに置くかの話もしていたのだが。

看板を置く場所を考えていたとき、HIwaiが余ったダンボールを持って何か閃いた表情をしていた。

細長いダンボールに円を描き、ダンボールを細かく切ってその円の上に巻く。
どう見てもLEGOブロックです。本当にありがとうございました。

カッターでダンボールを切るHIwai。

見ているこっちが怖くなるような危なっかしい持ち方をしている。

ちょうどこのブロック形広告が完成したとき、校内放送で「はよ帰れ」が流れた。

               *      *      *

翌30日、7時過ぎ。
にーなが学校に行くと、気が早いいくつかのサークルが準備を始めていた。

誰も居ない美術室で、にーなは旧校舎の窓枠を入れる作業を黙々と続ける。
黒のプレート(1*8)が足りなかったので前日はスルーしていたものの、1*4が大量に発見されたので埋められたのだ。

3階を埋め終わる頃には、ちまちま埋めるのに嫌気が差し、天体観測室のドームをいじっていた。
このときのにーなの戯れの結果、ドームは開閉式になった。

少ししてimamuとおぎが到着。
二人には中途半端だった旧校舎の修復を頼むことに。

修復が済んだ旧校舎。

黒の枠が入るだけでかなり違った印象になる。

まあ本物の窓枠は黒よりエンジに近い色をしているのだが、そのへんは唯の錆ということで見なかったことにしてください。

二人が旧校舎の修復と屋根張りをしていた間、べつににーなはふんぞり返っていたわけではなく、本館の屋根を張っていた。
しかし、パーツが明らかに足りない。
パーツが足りないと、思うように作業が進まないのと不安になるのとでだんだん心がささくれ立ってくる。

本館。

ちなみに屋上に上がったことはないので、上にあるはずのものがないとか言う文句には聞く耳を持たない。

このあと張り終わっていた旧校舎の屋根を強襲し、一部をベースプレートに置き換えることで屋根用パーツを強奪、ついでに仕上げをしておいた。

そうして出てきた屋根パーツで本館の屋根を張り終え、にーなは東館のほうに戻った。
東館の写真。

90%は完成している。

すると、大講堂で絵を描いていたらしいY氏が、うちのサークルへブッダを呼びに来た。
なんでも、ブッダの絵画能力が必要らしいのだが、このころブッダはまだLEGOを詰め終わり、家を出たところだった。
仕方がないのでブッダに電話し、余裕があれば大講堂を覗いてやるように指示。彼は1時間かかるかもという仕事を15分で終わらせて帰ってきた。

ブッダが来たので、用意しておいた看板に下描きさせることに。
imamuも描いていたが、多少ブッダに手伝ってもらったりとこの分野(レタリング)ではブッダの独擅場だった。

看板その1。横になっているのは塗りやすさ重視。

多分一番単純。

看板その2。矢印を後で書き加えました。

看板その3。LEGOのGOをそのままGOに見立てたらしい。imamu作。

看板その4。まさかの立体。

HIwaiがどこからか緑のペンキを借りてきたため、それを使って塗ることに。imamuとにーなが塗った。

これだけはまさかのブッダノータッチ。

その間、キクチとKaz、入れ替わり立ち代りでおぎやimamuと色々な人がかかわった武道館が、 屋根の縁のオレンジパーツが足りないという理由でストップ。

手が空いたやつらに、資材の運び出しや色見本の作成を任せることに。

色見本を作る二人。

ちなみに部員は誰一人として、パステル黄とパステルオレンジの見分けが付かなかった。同じ色じゃねーの?

それも済んだら、とりあえずすることがなくなり始めた部員たちから気(主に生気)が抜け始め、私語すら少なくなってくる。
教室に流れるのは、HIwai自前のスピーカーから大音量で流れる水樹奈々の歌だけ。

HIwaiは水樹奈々のライブに行き、普段から奈々ソングを流すほどに水樹奈々のファンらしい。
文化祭準備中は常に大音量で流されるので、メロディーは大抵の部員が覚えてしまった。
ちなみに曲を変えることはおろか、音量を最大から少し下げただけで彼は激怒する。

HIwaiは広告を作っており、Imamuも看板の色塗り、ブッダは個人作品の花札を、にーなは新校舎の端の壁を、
Kazはパズルをしていた。

花札を作るブッダの作業場。

ついに立ち上がった新校舎。この後東西の壁を埋める作業が始まる……

そんな低めのテンションで6時を迎えてしまい、片づけすらだらだらと進まない状態、そんなLEGOサークルに、文化委員長がやってきた。

文長「はよかえってやー」

HIwai「はいはいはーい」←副文化委員長

文長「おいおいHIwai、帰ろう」

HIwai「え?寝よう?」

文長「帰れ」

ちなみに動く気配を見せなかったブッダに、「戸締りよろしくね」といったらすぐに席を立った。言霊って素晴らしい!

その日の帰り、ベースプレートとパーツの補充に近くのT○ysRusに行って、ベースプレートと、あるクリエイターセットを購入した。
しかし、店員の目に我々はどう映ったのだろう。

大学生にも見える高校3年生が、4人しておもちゃ屋に入店、LEGO以外のコーナーには目もくれず、 LEGOのコーナーではパッケージもろくに見ずに入っているパーツの欄ばかり見ている。
おまけに買っていくのは巨大なベースプレートに、不釣合いなクリエイターセット。
どう見ても不審者です。本当にありがとうございました。

その下に入っていたユニク□で、部員共通のTシャツを作るための下見に入店してみる。
候補を一枚購入して、ブッダが家で熱転写の具合を試してみることに。

足りない文房具がないことを確認してから、その日は帰った。

               *      *      *

翌日。とうとう前日の5月1日。

朝5時にセットしていたはずのにーなの目覚ましは、何者かによって止められていた。
よってにーなが出かけたのは8時30分。9時過ぎに学校についてみると、Kazとimamuが絵を描いていた。

imamu「1時間30分遅れだな m9 」

にーな「早く来といて看板やってくれてないのかよ」

imamu「そんなんあったん」

にーな「あるよ。ここの画用紙を切ってってくれ。サイズはここに書いてあるから」

imamu「了解した。Kazー、青いほうやって」

Kaz「はいよー」

そうして作らせたのがこの看板。

使っていたスティック糊がトルコ産だったと判明。まるでトルコアイスのように伸びる。

imamu「トルコ人が「トルコのびーるアイス」とか言って売ってたトルコアイスを思い出した」

にーな「トルコ人の間違ったイメージ」

さて、看板を作り終わり、武道館を完成させる。
前日買っておいたクリエイターのセットをにーなが朝組んでいたのだが、それは数時間でパーツ単位に分解されてしまった。

分解されるクリエイターセット。

彼の分解は決して無駄にはならなかった。

さて、ここで校舎改正案の図が印刷されてきたので、模造紙に貼り付けてもらう。imamuに頼んでおいた。

張り終わった図。

少しして、ODORIBAのリハーサルを終えた創設者(wady)が現れた。

wady「なー昼飯食いに行こうぜ」

にーな「そうやな、行くか」

そのまま灘の隣にあるラーメン屋に突入。
我々のほかに数人の灘校生が居た。そこでwadyの作った校長の肖像に、リアル校長が興味を示したことや、校舎の進行状況などを話す。

wady「リハはなー、失敗したわ」

にーな「マジかよ。この前踊れてたやろ」

wady「いやー、そこまで仲のいい友人というわけでもなく、完全な他人でもない人に見られてるとやりにくいねん」

にーな「あー、なんとなくわかる気がする」

wady「しかも冷やかしてくる系やとさぁ……踊ってる間は「こいつらはかぼちゃや!」と思い込もうとしたんやけどさ、喋るかぼちゃって見たことないから……」

にーな「それは俺が改良して作った喋るかぼちゃやと思えばいい」

wady「うーむ」

その後も他愛のない話をしつつ、新校舎のパーツ状況を考えながら帰って何をするかの方針を立てる。

帰って少しして、ブッダからTシャツのサイズを聞いてくれと連絡を受ける。熱転写プリントを使って、LEGO部Tシャツを作ることにしていたからだ。
とりあえずその場に居た全員のサイズを聞き、HIwaiとwadyも独立にブッダに連絡が済んだ。
どうやら彼が学校に居る間に、ブッダ母が作っていてくれるらしい。感謝。

その後も少しずつ校舎をいじり、新校舎の下に買ってきたベースプレートを敷く。

ベースプレートを敷くことで一挙に強度が上がった。

それでも多分でこピンでバラバラになると思う。

さて、ここでやってきたブッダの机を紹介しよう。

きっちり整理された引き出し。

にーなの「袋に色以外ごた混ぜ」よりはるかに几帳面。

完成した花札。

二年越しにようやくの完成を見た。

閑話休題。こうして新校舎の大きさが確定し、部室棟を繋げるようになった。
窓パーツを量産してもらい、それを繋げていく。

繋がった部室棟。

実はこの時点で作るのをあきらめた構造があるが、ここでは書かないことにする。些細なものだし。

このころ、タンパーツが足りないことが明らかになり始める。さらに時間は4時ごろ、完全下校時刻までたった2時間程度だ。

やばい。

とりあえず、今まで作った校舎からいらないパーツや節約できる部分を取り出す。
しかし足りないものは足りない。
にーなはその都度、「プレートを三枚重ねで使っていい」、「本館の屋上のフェンスを一段下げていい」などの許可を出す。
しかしそれでも足りない。ほぼ一面分足りないので、おぎが自身のパーツからタンのものをあるだけ取り出すことに。

タンパーツを探すおぎ。このあとキクチがここでパーツをさらう係りになった。

まともなパーツが尽きて、急速にでっち上げられていく壁。

もうこうなったらやけくそだ、とばかりにアーチやクリップつき、その他あらゆるパーツを色落ちや汚れも気にせずに組んでいく。

このとき時間は5時過ぎ。残り1時間を切っている。

Kaz「あーパーツがない」

おぎ「あははははははは」

この頃になると皆テンションがおかしくなってきて、意味もなく笑い出すような精神状態に。
にーなが色々なところからタンパーツを取り出してつけてみたり、クリアパーツを大量に使って窓を捏造し、タンパーツを浮かそうとしてみたりした。
新校舎が完成していることだけが救いか。

新校舎全体図。どうも部室棟(左)がのっぺりしていて、力尽きました感があふれ出している。

そのうち、無常にも下校時刻コールが鳴り響く。

おぎ「うーん、この波長域は俺の耳では聞き取れないな」

imamu「ちょっと人間には聞き取れない超音波が流れているみたいやな」

おぎ「窓を隠してしまおう。音楽消して!電気も消そう」

にーな「いやばれるだろ……」

と、そこに美術室のドアをノックする音が!

?「……」コンコン

にーな「……」

この一瞬の間に、にーなの頭の中にどれだけの考えが巡っただろう。

一瞬の抵抗と、永劫にも思える諦観の後ににーなはドアの鍵を開けた。作業はここで終了かな、と思いながら。

田中(仮)「入っていいー?」

そこに居たのはクラスメイトだった。

この瞬間どれほど力が抜けたろうか。用務員さんでなかったことに胸を撫でおろしながら、どうぞどうぞと中に迎え入れる。

にーな「いいよ、修羅場やけど」

田中(仮)「おお、修羅場や。てゆーかすごいなー、やっぱり」

にーな「そういってくれるとありがたい」

田中(仮)「ん……?」ブブブブ

彼はポケットから携帯を取り出し、画面をしばし黙読する。

田中(仮)「残ってるサークルを追い出せというメールがメーリスで来たけど……
削除ぉ!!

全員「ええーー!?」

田中(仮)「昨日8時くらいまで残ってたから大丈夫大丈夫」

このとき彼の背後に後光を見たのはにーなだけではないはずだが、それでいいのか文化委員という心配が少し走った。

田中(仮)「うーん、でもここの窓網入ってるもんな。窓から出られへんからなあ」

どうやら彼は前日、校舎の窓から帰ったらしい。

田中(仮)「誰かが言ってた、
文化祭は前日が一番楽しいって」

ブッダ「わかる気がするわ」

その後校舎が一応の完成を見て、彼に全員の写真を撮ってもらい、解散。

田中(仮)「もし用務員さんに見つかっても、面白いこと言えば許してくれるから」

ブッダ「なんというww」

               *      *      *

その日も帰りにT○ysRusに寄る。
出ているセットの中にタンパーツがないかどうか必死に探す我々は、どれほど奇特な集団だろうか。

にーな「ダチョウのレース……1*1*5が2本と4*6プレートが4枚ほど」

おぎ「自由の身のドビーもおんなじ様な感じやね」

imamu「スターウォーズは?」

にーな「そもそもブロックが少ない」

imamu「そうか、ディティールパーツばっかりか」

ブッダ「これすごい!」

そこで彼が指したのは、19999円するGRAND EMPORIUM。

内容量が記載してあり、タンパーツが本当にどっさり入っていた。

その他、クリアパーツやダークタン、濃灰プレートなど、困っているパーツのほぼ全てがそろう。

にーな「資金が一桁多かったら即買いなんだが……」

ブッダ「一人頭……8人やから……えーと」

にーな「おい大丈夫か、2500やろ」

ブッダ「あーそうや、計算能力がやばい」

にーな「www」

ブッダ「ていうか結構安くね?一人3000円以下なら買っていい気がしてきた」

にーながセットの箱を手に取る。

ブッダ「あれ、それもしかして最後の一個?」

imamu「そんなことないやろ、奥に……」

にーな「いや、奥にあるのは別のセット」

imamu「ほんまや」

にーな「まるで俺たちを待っていたかのような……」

ブッダ「ww」

にーな「……いくら持ってる?」

ブッダ「自分はほとんどない。2000ほど」

imamu「10000あるけど本買うから使えるのは8000ほど」

おぎ「6000あるよ」

にーな「俺は9000」

ブッダ「足りたww」

逡巡すること暫し、にーながセットの箱をぐっと握る。

にーな「いい?」

おぎ「うん」

imamu「買うと決断するのがLEGOクオリティ」

周りを子供たちが走り回っているトイ○ラスのLEGO売り場に不釣合いな強い意志と雰囲気で、にーなが巨大な箱を抱え、レジに持っていく。

レジ係「はーいお待たせしました、19999円になります。1円のお返しです。ありがとうございました〜」

おぎ「ついに買ってしまった」

ブッダ「家でパーツごとに分類しといてくれる?」

にーな「いいよ」

おぎ「明日皆であけたい気もするけど……」

imamu「間に合わんやろ」

おぎ「そうやな」

にーな「つーか俺ら覚えられたんじゃね?ザラスの人に」

imamu「かもなぁ」

にーな「二日連続四人でザラスに来て、馬鹿でかいベースプレートを買って、ついでにこんなでかいセットを切羽詰った様子で買っていった高校3年生」

imamu「ww」

その後、階下の本屋に言ってimamuが本を買い、解散。

家に帰ってにーなはこの文化祭報告を書き、パーツの分類を。ブッダは印刷と個人作品、そしてこのサイトに携帯でアクセスするためのクッションページ作りに取り掛かった。

               *      *      *

翌朝。1時間だけ仮眠してそのまま起き続けたにーなは、5時ごろに家を出て、学校に5時30分過ぎに到着した。

その途中で見た朝焼けが絵に描いたように美しかったものの、母がデジカメを使うということだったので家においてきたことを忘れていた(そのせいでここの写真は少ない)。
適度に雲がかかっており、昼の空に浮かぶ火球よりも大きく見えるその太陽を見たまま学校に。

しかし、だ。学校に着いたはいいものの、なんと校舎が開いていない。

校舎の鍵が開き始めるのは、用務員さんが来てからなので6時過ぎになるとのこと。
暇すぎたので、ダンボール置き場から使えそうなダンボールとそれを結ぶ紐を選別し、中庭ステージの背景などを見たりしていた。

6時15分、ようやく東館が開く。すぐに教室に入って、先日買ったセットを開く。
前日、にーなが1時間30分費やして2200のパーツをソートしていたので、使えそうなパーツを取り出して、でっち上げていた図書館棟へ向かう。

まず、無駄遣いされているクリアに窓枠を入れ、窓を最適な場所に置き換え、変色しているパーツをより分けた。
犠牲になっていた強度も若干修正を施し、屋根を張って完成。ひとまず校舎展示は完璧に。

と、ちょうどそのころキクチが到着する。
タイミングばっちりだったため、レイアウトのための机移動を手伝ってもらうことに。

またこれが頭を使う。HIwaiのFw190が完成・到着していなかったために、本来空かないはずのスペースに結構大きな穴が開いてしまう。
個人作品も、完成していないものが多いためにテーブルはスカスカ。この状況を何とかしないといけない。

なので予定よりも少し真ん中よりに校舎を展示。坂本竜馬や球体でスペースを埋めながら、何とかしてたくさんあるように見せかけようとする。

少し遅れてKazとおぎも到着。パズルコーナー用の机を並べ、インスト(設計図)を読むための場をつくり、検定問題を解くための場も作る。
このときに重要なのはどれほど場所を潰せるかだ。なにせパネル展示が出来ていない上、個人作品の一部が破壊されているとなっては、空白感は嫌でも目立つ。
色々と考えた末、まあとりあえず出来る限り隙間を大きくしようという最低の結論に達した。

校舎の移動を完了し、机の上に個人作品を並べ終わったあたりで点呼の放送が。
にーなは責任者特権で点呼免除だったが、他の面子は居なくなる。
出しっぱだった模造紙や画用紙などのゴミを片付け、少しばかり掃き掃除し、部員スペースを片付け終わった頃、点呼が終わって皆帰ってきた。

第65回文化祭スタートである。

               *      *      *

ちなみに。2011年5月2日は、平日である。
つまり、基本的にお客さんは少ない。一部のクラブは「リハーサル」と陰で言っていたらしい。
まあクラ研なんですけどね。ソースはHIwai。
実際、来るお客の半分ほどは校内生だった。小学六年生と中学一年を間違えてたりするかも知れんけど。
というわけで、作品が壊れる事もほぼなく(パズルを除いて)、基本的に部員は暇だった。

10時くらいに、ブッダの御母堂が届けて下さった"NADA LEGO Tシャツ"に全員が着替える。

いい出来だった事に満足だが、熱転写シートを使ったために、あまり長い間使う事は出来なさそうと言うのが難点。

こんなことならちゃんとした業者に頼めばよかった。

ちょうどお昼ごろ、中庭ステージでODORIBAが始まった。窓を開けていたせいでその爆音が教室に入ってきたので、我々はそっと窓を閉じた。

wady「踊ってくる」

にーな「見てくる」

ブッダ「私も」

平井「俺も」

にーな「誰だ今の」

ということで、中庭でクラスメイトと一緒にtau&wadyの踊りを、wadyに要請されたとおり
ニヤニヤしながら見ていた。

結局ほぼハプニングはなしで踊りは終了。中庭も割と盛り上がってた。

すごくよかったと思うが、これを書いている現在どこにも動画が上がっていないのでリンクは貼れない。二人に許可も取ってないし。

その後、中庭ついでに古本市に寄る。「仙人になる方法」という本が置いてあったので手に取ったが、そこまで専門的でもなさそうだったので買わなかった。というか抱朴子を読んだにーなに死角はなかった。

当日の中庭の様子。

売店でフランクフルトとアイスを買って、中庭ステージを見ながら食べる。

どうしてこういうときに食べるものっておいしいんだろうね。

imamuが「今年は文化祭中に10本食べる」と宣言して、いきなり3本買っていた。「明日は混むから買えんかも知れんぞ」と言ったら「そうやな……」と言ってまた買いに行った。どれだけ食いたいんだよコイツ。

少し懸念していた事だが、検定問題を解けるやつが出てこない。

確かに少し難しいかなとは思っていたが、化研クイズも数研の模試も難しいし、
これぐらいいいんじゃね?と言った感じで作ってしまったのだ。
今は割と反省している。

まあここまで読んでいればわかるように、我々は景品の用意をしていない。
多分高得点者は現れないだろう、という予測と、めんどくさかったのと、時間がなかったことが主な理由である。
問題と解答解説はまたprojectにでもupするから
「こんなん解けねーよクソが」とでも言いながら見ればいいと思うよ。


こうしてみると、校長の肖像が学校を見下ろしてるようでなんかアレ。

tau&wadyが踊り終わって少しして、にーなは睡魔との闘いに打ち破れた。
あまっていたダンボールや画用紙を床に敷いて、箱ティッシュ(空)を枕にして寝たのだ。
よってその日の午後1時間ほどの記憶はない。だが特に何かが壊れたとか言う報告は聞かなかったので、まあ問題なかったのだろう。

その日の来客は、点呼までの時点で1269人。点呼後も数人が訪れ、且つ部員が数えていないお客が結構居ただろうことから(何とならばカウンターを持ちながら友人と喋る部員の姿を数度確認しているからである)、最低でもこの人数という値になる。

去年の一日3500人という人数の1/3にも達していないが、平日と言う事を加味すればこんなもんなのか?

その日の終了後は、にーなの予定では

・間に合わなかった部員紹介を書き、
・間に合わなかった個人作品を作り、
・作りきっていない部誌を作る

はずだったのだが、なんかもう皆疲れきっていてそれどころではなかった。

そして文化委員がご到着。

文化「もうすぐ下校時刻やからはよ帰ってやー」

全員「えぇー……」(絶賛グダり中)

文化「なんか作ってるんならまだしもさぁ……」

全員「はーい……」

その日の夜、にーなは多少仕事をした後丑3つ頃には寝たのだが、ブッダは似非模造紙(製作過程)をつくり、個人作品を完成させるために徹夜だったらしいし、HIwaiもFw190のために徹夜したらしい。

               *      *      *

翌日。にーなは多少寝坊して、7時前に家を出る羽目に。
急いで駅に向かうと、準備は1日目に完了しているはずの、柔道部の後輩が居た。

S「お?」

にーな「なぜ居る」

S「いやー、なんか灘校グッズの運び出しを手伝わされる羽目になってさ」

ちなみに灘の柔道部では、1つか2つ違いくらいでは敬語は使わない(ほど仲良くなる事が多い)。
一部の几帳面な部員(wadyなど)は敬語を使っているのだが、後輩にタメ口で話しかけられても殆ど誰も気にしない。
名前を呼ばれたとき、あだ名がついていない場合は「○○さん」と呼ばれることに違和感を覚えるほどである。

にーな「力仕事ざまぁ」

S「7:30に学校つかなあかんけど、ちょっと無理そうやな」

にーな「ペナルティは?」

S「大丈夫大丈夫、昨日顧問も遅れてきたから」

にーな「なんじゃそりゃ。またあの人は娘の世話でもしてたんやろ」

S「それでいて遅れた部員を叱ってるっていう、な」

にーな「www」

そんなこんなで一日目の推移などを話しながら学校へ。
実はこの日、にーなも7時30分にHIwaiの荷物運び込みを手伝わないといけないことになっていた。例のFw190である。

学校の通用門が見えてきたとき(7時32分くらい)、そこにはにーなにメールを送りながら早足で学校に入るHIwaiの姿が!

にーな「そうそう、荷物の運び込みをしやなあかんから俺はここで」

S「ん。じゃあ頑張ってな」

にーな「そっちもな」

そしてすかさずHIwaiに電話をかける。

にーな「もしもし?今西門の前にいるんやけど」

HIwai「うそぉ?今通ったけどおらんかったで」

にーな「今来たからな」

HIwai「ほんまや、おった」

そしてHIwai母にご挨拶。車の中のFw190を取り出す。

HIwai「俺が羽持つからお前胴体持って。この辺」

にーな「羽の下の胴体も持ったほうがいいんでは?」

HIwai「多分大丈夫」

これが最大の失敗だった事が、少し後に明らかになる。
慎重に階段を下りて、廊下を歩いているとき、Fw190から嫌な音が。

HIwai「あ」

なんと、胴体の下の部分が取れて落ちたのだ。排水溝に落ちなかった事だけが救いだが、壊れたという現実は非情且つ救いがない。

HIwai「あぁー!もう嫌や……」

HIwai「ただでさえ車に入れるためにプロペラとか羽の先とか取ってるのに……」

美術室に戻って、HIwaiは必死に直そうと努力していたが、間に合わず、壊れた状態のまま展示する事になった。

言い訳の文章。

これを書いた後、HIwaiはクラ研と文化委員に呼び出しを食らってどこかに消えていった。

展示した状態。本来ならもう少し完成に近いはずだったのだが……

それが終わって、昨日書けなかった部員紹介を書こうと思ったのだが……

ブッダがいない!

仕方がないのでにーなが模造紙に初挑戦。

メンバー紹介の字がにーなの字。

介の字以外はうまく言ったと思う。

というかね、絵でも字でもそうだけれど、複雑なものほど描きやすくて、シンプルなものほど描きにくいんだよ!

複雑なものは多少ミスっても全体への影響は少なくて済むけど、シンプルなものは少しのミスが全体に響くから(デ○デ大王の服を多少書き間違えてもそこまでひどいミスではないだろうけれど、カ○ビィの輪郭をミスったらどうなる事だろう?)。

まあこれを書き上げて、自分の紹介文を自身で書いてもらい、かけた模造紙から貼っていくことに。
10時ごろには全員書けてた……と思う。よく覚えていない。

同じ頃、ブッダも作っていたパネル展示を貼っていた。

ここの文とは独立に書いた製作過程。

貼りあがった製作過程。いつからか、パネル展示を書く時間がなくなり、この形式になっていったのだった。

もう一つのパネルには設計図の一部を展示。

まあこの前でじっくり見ている人は少なかったのだが。

               *      *      *

昼頃。人が多くなり、色々と質問をしてくる人が増えてきた。教室内を常時2〜3人のメンバーがうろついていたので、質問に答えられないという事はなかったが、ここで創設者(wady)の出番である。

彼はかなり人当たりがいい。初対面の人に対しても、その態度が好評なのだ。それは彼の丁寧な話し方に依るものかも知れないし、風貌かも知れないし、雰囲気かもしれないのだが、今年はそれがあまり発揮されない。

なぜなら、彼がサングラスをかけていたからである。

彼は踊りの衣装であるサングラスをつけたまま教室をうろついていたので、Tシャツを見て話しかけようとした人が顔を見て避けるという事案が発生していた。
彼自身もそれは不本意だったらしく、部員スペースに入ってきて画用紙を求めた。
説明しよう!wadyとは!

説明係のことである!

拡大。

この張り紙のおかげで聞いてくる人が増えたと彼は言うが、気のせいではなかろうか。

説明するwady。でも張り紙がない他の部員も結構質問されていた。

中庭に行ってアイスを買い、部員スペースで食べていると、外からお呼びがかかった。どうやら校舎が壊れたらしい。
毎年1度はある事だ。カバンがぶつかったり、興味本位で触れてしまったりする事はわりとある。
それでも壊れないくらいにしっかり作れればいいのだが、予算や時間の関係上、なかなかそういうわけにも行かないのだ。

どうやら問題は武道館の屋根が外れた事だけらしい。

多分他の部員に任せても十分直る事だろうと思ったが、一応見に行く事に。

実際、にーながあれこれする事もなく、おぎがきちんと直してくれた。
優秀なメンバーがいれば、部長があれこれ気をもむことはないものね。

2日と比べ、人が多い分壊れる作品も多かったが、気がついたら誰かが直してくれているという状況だったので、にーなも多少の余裕はあった。

差し入れのサンドイッチやフランクフルトをかじりながら、窓越しに中庭企画を見ていると、なんとまあフィナーレが始まってしまったではないか。
これが終わりの始まりというやつか。バイオリンやキーボードを弾いている中庭ステージを見つつ、最後の文化祭の終わりのときを、文字通りかみ締めた。それはケチャップとマスタードの味がした。

しかししみじみしている暇はない。フィナーレが終わり、文化委員長が泣きやんですぐ、第1グラウンドで点呼があるからだ。こんなときぐらい点呼なしでよかろうと思うのだが、学校側はそうは思わないらしい。
点呼に行き、掃除の指示を受けてから(既にプリントで配られているのだが……)、走って教室に帰る。

教室にはまだ人がいた。謝りつつ既に終了した事を伝え、出て行ってもらう。

去年もそうだったのだが、この片付けというのが辛い。

何故か。それは、我々は他のクラブと違って、手荒に扱っていいものを展示しているわけではなく、且つ人手も少ないし、また部室もないのだ。

どうしようもない。いつも校舎をダンボールに入れるだけでこの時間の殆どを使い切ってしまうのだ。
今年もご他聞にもれず、校舎をしまって資材を返すだけで5時を回ってしまう。

HIwai「おい!早くしろ!急げ!」←副文化委員長

にーな「言われんでもわかってるって」

HIwai「口動かす前に手ェ動かせ!こらそこ!マンガ読むな!」

にーな「慌てない慌てない、一休み一休み」

HIwai「一休みすんな!ほらお前ら、まだこんなに片付け進んでないのここだけやぞ!」

にーな「全く……文化委員が帰れ帰れいうからじゃないか」ヤレヤレ

HIwai「こら!文化委員を敵対視すんな!」

にーな「えっ?敵じゃなかったん!?」

HIwai「アホか!!その証拠に呼んだら手伝ってくれるわ!」

にーな「外で文化委員遊んでるけど?」

HIwai「早く片付けろおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」

その後顧問が現れて、文化委員が手伝いに来て、ようやく騒ぎは収まった。まあ下校時刻を7分ほどオーバーしていたのだが。

持って帰りきれない物は(他のクラブは部室に入れてるんだろうけどね)、教室に置いておいて翌日には持って帰ることを約束。

片付けから解放された我々は、正門の前で少し考えた後、灘校生活最後の文化祭の打ち上げのために、日の沈んでいく西方に歩き出した。


                                      終わり。